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ジャック・リヴェット『彼女たちの舞台』(1)

映画は映像イメージの連続であることなどことさら言うまでもないが、物語を語るためだけ、もしくはストーリーにつじつまを合わせることだけを目指して映像をつないでいる映画は少なくない。そこでは映像は物語という意味の奴隷であって、意味が伝わればその役割は終わってしまうことになる。そういった映像は時間がたてばあらかた忘れてしまうばかりか、中には見終わった瞬間、つまり物語が完結した瞬間、物語ともども一挙に忘却のかなたへ運び去られてしまうといった映画さえないではない。

それに反して、一つ一つのショットがそれ自身で必然的な意味を持ち、それらが相互に関連し繋がりあって、見終わった時には何か謎めいてはいるが、しかしくっきりとした大きな空間が胸の中にひろがってくるとでもいった映画がある。あらゆる映像に緊張感がみなぎっている映画。それがたとえどんなに緩慢な動作を映し出していようと引き込まれてしまう映画。その長さににも係わらずもっと長く続いてほしいと願うような映画。

僕は最近、ジャック・リヴェットの昔の映画を3本まとめて見た。リヴェット映画祭には行けなかったが、しばらく前にDVD化されたのが近所のレンタル店に置いてあった。『セリーヌとジュリーは舟でゆく 』(1974年)、『北の橋 』(1981年)、『彼女たちの舞台』(1988年)。3本ともまさに後者の映画であって、驚きと不意打ちにみちた傑作だった。僕は今3本の一つ一つについて紹介する気力はないので、どれも甲乙つけがたいけれど、一番最後に見たという理由だけで、『彼女たちの舞台』について、そのおもしろさはどこからくるのか探ってみたい。
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