映像作家ダニエル・ユイレ亡くなる

a0023387_14224378.jpgパリ在住モンパルナスさんのストローブ=ユイレという記事を今日読んで、なんと映像作家のダニエル・ユイレ、夫ジャン=マリー・ストロ-ブとの共同作業で現代で最も魅力的な映画を創り続けてきた、あのダニエル・ユイレが亡くなったことを知って驚いた。

日本の新聞では、少なくとも今のところ報道されていないのではないだろうか。僕はさっそくネットでいくつかの新聞を検索して詳細を知った。とりあえず、僕が読んだ記事のURLをあげるとLiberation ,  Le Monde,  The New York Times の3つだが、それぞれが長文の追悼記事を載せている。

それらの記事によれば、ユイレは夫ともに来週水曜日(10月18日)からフランスで公開される彼らの最新作「Ces Renconntres avec eux」の公開のために住まいのあるローマを離れて数日前からフランスに滞在していたとも、またガンの治療のためにフランスを訪ずれていたともある。死亡したのは、10月9日(月)ロワール河渓谷にある友人の家で、死因はガン、70歳だった。死去の報道はリベラシオン紙が一番早くて10月11日に、ルモンドとニューヨークタイムズは12日にそれぞれ伝えている。

ダニエル・ユイレは1936年パリ生まれ。いくつもの逸話があって、彼女は中等教育を終えると、ソルボンヌに入学したが、30分後に憎しみと恐怖を感じつつ大学をあとにした!! という。その後、国立高等映画研究所(IDEHEC)に入学のための勉強をしていたときにストーロブと知り合ったのだが、しかし、彼女はその研究所の入学試験の時に、試験問題として出された Yves Allegret の「Maneges」という映画を分析せよという課題に対して、その映画は「まじめな考察に値しないと」いう理由で、答案を提出することを拒否した、という。この逸話については、彼女の独立した生き方と精神的不羈を表すものとして、上記3紙がともに伝えている。

僕は、ここでストーローブ=ユイレの映画の分析をする準備も能力もないが、つい昨年、ペドロ・コスタが撮った、ストーローブ=ユイレが映画「シチリア!」を編集するドキュメンタリー映画を見たばかりなので、そのときのユイレの姿が今も忘れられない。
その映画では、ストローブはなんだか訳のわからないことをつぶやきながらウロウロ歩き回っているばかりで、ユイレがテキパキと、ときどきは彼と言い争いながら、編集作業を進めているのだったが、まあどこの家でも同じだなあなどと思いながら見たのだった。

ユイレがこうして亡くなってしまったとすれば、ストローブが一人で再び映画を撮るということはあるのだろうか?僕らは、現代において(たぶんゴダールとともに)最も挑発的で、論争の多い映画作家の新作をおそらくもう再び見ることはできなくなってしまったのだろう。悲しむべし。

写真は、ペドロ・コスタ監督『映像作家ストローブ=ユイレ あなたの微笑はどこに隠れたの?』から。左の女性がダニエル・ユイレ、右がストローブ。
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by espritlibre | 2006-10-13 21:32 | 映像・演劇・音楽 | Trackback | Comments(2)
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Commented by Qtaro-mama at 2006-10-14 03:24
トラックバックありがとうございます。
ストローブがこれから映画を撮ることはあっても、ストローブ=ユイレでクレジットされる事はもうないと考えると、とても淋しい思いでいっぱいです。ペドロ・コスタの作品、未見です。とても見たいです。
Commented by espritlibre at 2006-10-14 14:31
ユイレ死去のニュースは僕の知る限り、日本のメディアではまったく報道されていません。Qtaro-mamaさんの記事を拝見していなかったら、僕もまったく気づかなかったと思います。記事にしてくださってありがとうございました。
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